No.084 アムーリ・アムーリ/JUGIANO ARAI
ORCD-6003「アムーリ・アムーリ」
JUGIANO ARAI
JUGIANO NAPOLETANA ORCHESTRA「ナポリドーロ」
ギター FELICE TAKESHITA、
マンドリン RINA NISHI
こちらの商品はBASEでの購入となります
2 I'te vurria vasa!
3 Lu cardillo
4 Serenata Napulitana
5 Serenata sincera
6 Brucia la terra
7 Reginella
8 Amuri,amuri
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
曲目解説
#1 「Maria, Mari」マリア・マリ 作詞 VINCENZO RUSSO
作曲 EDUARDO DI CAPUA
編曲 JUGIANO ARAI
「I’te vurria vasa !」の名コンビが生んだ超有名な歌。映画「ナポリの饗宴」の中でも、
恋する若者が窓の下で本来の歌詞の意味にそったソットボーチェ(控えめの声)で歌っています。なぜなら大声で歌えば一緒に寝ている家族みんなが起きてしまうからです。 お婆さんと一緒に寝ている僕のマリー、窓を開けてその美しい顔を見せとくれよ、でないともう夜が明けてしまうよ。少しでいいから君を抱きながら寝てみたいんだ、僕のマリー。
#2 「I’te vurria vasa !」( 貴女に接吻したい ) 作詞 VINCENZO RUSSO
作曲 EDUARDO DI CAPUA
編曲 JUGIANO ARAI
多くのカンツォーネ歌手が好んで歌う定番といってよい名曲。イタリア映画の中でも俳優が何気なく口ずさんだりしているのをよく観かけたりします。詩の内容はごくありふれていて、バラの花に囲まれた場所で、まどろんでいる美しい彼女に近づきキスがしたいと願うもの。眠りの森の美女に王子様がキスをするのとよく似ています。セレナータの見本のような前半から後半において旋律の盛り上がりなど具合よくはまった作品です。美しいコブシの入れ方が聴かせどころです、そして王子様になれるかどうか・・コレが勝負。
#3 「Lu Cardillo」麗しのひな鳥 作詞 不詳
作曲 LABRIOLA
編曲 JUGIANO ARAI
男性が鳥籠の中にいる鳥にむかって歌いかける、そんな優しさに満ちた声の出し方が好まれた時代がありました。曲も沢山作られています。クラウディオ・ビルラもデビュー当時はビロードのような優しい柔らかな声でした。今はそんな歌い方をする歌手がいなくなったとお爺さんお婆さんたちは嘆きます。声が乱暴すぎて汚すぎるというのです。
ひわ鳥はキリストの象徴でもあり絵画にもキリストと共に描かれています。賢い鳥なので伝書鳩のように足に伝文をつけて飛ばしたそうです。歌詞は、パトロンのもとで、死にたいほどの気持ちで落ちこんでいるネンナのところまで僕の恋文が届くように、そしてもしネンナを抱いてキスまでできたなら、何て幸せだろうか・・。品良く歌いたいものです。
#4 「Serenata Napulitana」ナポリのセレナータ 作詞 S.D.GIACOMO
作曲 MARIO COSTA
採譜・編曲 JUGIANO ARAI
オーソレミオと同じく1897年頃に作曲された作品。マンドリンはナポリで生まれました。その楽器の特徴がもっともよく生かされた曲がこの曲でしょう。歌とマンドリンが、まるで掛け合いのように即興で入ります、戦前にフランコ・リッチが歌った45回転のレコードを入手し砂嵐のような音源から採譜、聞こえない部分は編曲をつけ加えて仕上がりました。ナポリの愉快さ、大らかさ、自由さが一杯詰まったナポリ風セレナータの逸品です。
部屋の窓に影が写っているけれど、それは君だろ? 夜になっても姿を見せず、語りかけもしてくれない、どうしてなんだい? 僕をもう忘れたのかい。恋はお終いなのかい?
#5 「Serenata sincera」誠実なセレナータ 作詞 DEREVITSKY
作曲 MARTELLI
採譜・編曲 JUGIANO ARAI
コンソリーニという名歌手がいました。イタリアのお婆さんたちが口を揃えて、頬っぺたに人差し指をあてグリグリとこねる仕草をしながら「ドールチェ」(甘い声)と言います。ディ・ステーファノが最初に歌ったカンツォーネがこの曲でした。つまりコンソリーニの歌を聴き触発されたわけです。どうしても楽譜が欲しくてシチリアまで・・。帰国の前日、ジェラート店横に怪しげなCD販売の屋台があり、ボロボロに割れたケースにその曲を発見できました。おそらく日本で初めて歌われるのでは? と推測していますけれど・・。
歌詞の意味は、君は逢いたくもない、知りたくもないと言うだろうけど、僕はいつまでも君のことを愛し続けている。なぜなら君は二人といない人なのだから・・・。
#6 「Brucia la terra mia」灼熱のわが故郷 作詞 L.KUSIK
作曲 NINO ROTA
編曲 JUGIANO ARAI
映画「ゴッド・ファーザー」ではBGMとしてよく知られた耳に深く残る曲です。アンディー・ウイリアムスが英語でテーマソングを甘い声で歌っていますが、シリーズ第三作目ではオペラ歌手になったマイケルの息子がシチリア語で歌いました。単に言語が違うだけでなく歌詞内容までが異なっています。マイケルの最初の結婚相手が焼けた大地で殺された悲しみが歌詞となっています。イントロの部分でナポリドーロの実力が反映される演奏が長めにあり、自然の河の流れのように唄が入る構成に編曲しました。
#7 『REGINELLA』僕の女王様 作詞 GAETANO LAMA
作曲 LIVERO BOVIO
編曲 JUGIANO ARAI
1917年に作曲された曲ですが、90年後の今日でもいまだに若者も含めて好んで歌われて、後半の部分になると言わなくても観客は大合唱に加わります。そんな歌が存在できているナポリの地そのものに深く感銘を受けます。きっとナポリっ子の心をキュンとさせる歌詞が永遠の生命を宿したのでしょう。おそらく100年後も歌われているにちがいありません。 君に恋をし、君もボクに恋をした。一緒にいた時はパンとサクランボしか食べなかったネ、キスだけで生きていた。可愛い女王様と呼び、君もボクを王様と言ってくれた、でも今は・・。
#8 『 Amuri , amuri 』 アムーリ アムーリ 作詞 不詳
作曲 DINO SADERO
編曲 JUGIANO ARAI
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タリアビーニが来日したときアンコールで歌い40年前に知った憧れの曲。シチリア語の意味が分らなくも深く感動し記憶に残った名曲です。このアルバムの締めくくりとして選びました。また、この曲には日本の長唄と同じような芸術感性が存在するのでは? と推測しています。言葉こそ違うものの、コブシなどのあり様が共通の音楽のようにも感じられるからです。それでこの曲だけ歌い方を変えてみることにしました。いかがでしょうか?
愛して愛し続けたのに、何てことに・・神も仏もありゃしない、儚い夢だったんだ、わが故郷さえ忘れるなんて、マリア様も忘れたのか、行こうチビ公、もう家に帰ろう。とロバを曳きながらトボトボと家路につく、シチリアの古い失恋話をもとにサデロが曲をつけた。
「古き良き懐かしきナポリの音楽をあなたに」 JUGIANO ARAI
2007年7月、こよなく古典カンツォーネ・ナポリターナを愛するJUGIANOが選りすぐったメンバーで思い通りの編曲でもって演奏しよう、という意図のもと古典カンツォーネ・ナポレターナ楽団の新ユニット「JUGIANOとナポリドーロ」が誕生。
出会いは偶然のキッカケから。JUGIANOの書いた音楽劇「ナポリのチッチリーナ」に彼らが伴奏者としてやってきた。マイルドな感触のあるギターと天性のトレモロがあるマンドリンにJUGIANOは惚れる。出会いは神様がくれたチャンス。一番素敵なタイミングを逃さなかった。
レコーディングはOhraiレコードの清水さんとJUGIANOが半年前に出会って、そして再会、お互いの直感から一気呵成に「10日後にやりましょう!!」と話がまとまった。
“ナポリのカンツォーネ”
その音楽は素朴なギターとマンドリンによる伴奏で行われ、独特の軽やかな歌いまわしは世界の人々から熱烈に愛され親しまれて来ました。「オーソレミオ」「帰れソレントへ」など一般的にもよく知られた唄もありますが、実はもっともっと古い時代・楽譜というものがなかった紀元前から、ナポリではカンツォーネ音楽祭が催され歌い継がれて来ました。皇帝ネロも歌ったという記載があります。まさに歌好きの国の特産物と言えるものです。
16c,17c音楽の都として世界中から音楽家がナポリに集まります。19cになるとオペラとカンツォーネが大流行し、歌う作品もそれに併せて数多く誕生しました。
ナポリのカンツォーネはイタリア語でなくナポリ語で歌われますが、イタリア統一がなされるまではナポリ王国だったりして独立国でしたから、民族的にも別の国の原語というのが正しい解釈です。映画「ゴッドファーザー」で歌われているカンツォーネはシチリア語です。イタリア人、ナポリ人さえ意味が分らないといいます。でもシチリア王国の首都はナポリだったりしたので、南イタリアとして一緒かな・・という感覚を彼らは持っています。CDには「アムーリ・アムーリ」もシチリア語で歌われています。その言葉の発音ならではの味わい深さがあり、JUGIANOはそれに最もこだわりました。古い歌なのに現代人が一度聴いたら忘れられないほどの心地よい癒し系音楽。いっときだけ日常を忘れ、豊かな時間を共有する楽しさを味わってみて下さい。イタリア南部の陽射しと甘い香りを味わうことがきっとできますよ。
ナポリドーロからの一言コメント
ジュジャーノとぼくらの旅は始まったばかり。ジュジャーノが愛した、この素敵な音楽を飾らず、さりげなく爪弾きました。皆さんが一緒に楽しめたら・・とても嬉しく思います。 Felice Takeshita
古典カンツォーネにおいてマンドリンの果たす独特な音を探り、JUGIANOと共に心を込めて作り上げました。気に入って下されば幸いです。JUGIANOに乾杯 !! Rina Nishi